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何故かわからないが、何やら残念な気持ちで満たされてしまうのだ。何事もない平凡というのは、感情にすら起伏はなく、沈んで行く一方であるように感じる。
「紹介します。今日からこのクラスに転入してきた荒川久美子さんです。」
更に、そんなある日。
早苗の学級に転校生がやってきた。急いでその姿を確認してやる。
転校生の久美子は早苗と違い、ショートヘアでボーイッシュである。背は高くもなければ、容姿も平均並み。
しかし新しく目にするものに、早苗の胸は高鳴る。平凡を今、壊すチャンスが訪れたのだ。
「さくらちゃん、あたし、荒川さんと仲良くなりたいなあ。」
「うん、それいいね。私も話してみたい。今日放課後誘ってみる?」
「そうする!」
昼休みに仲の良いさくらに相談をし、同意の他何も出ることはなく、あっけなくそれが決定された。
朝一番で久美子の姿を見たときのような胸の高鳴りは、放課後を楽しみに思えば思うほど、また波打ち始める。その度に時計を確認し、早く進めと念を送った。
「荒川さん!今日、一緒に帰ろうよ!」
「あ、うん。」
久美子は控えめな笑顔で笑った。
それから、申し訳なさそうに眉が歪む。
「えと、ごめん……まだクラスメイトの名前覚えられてなくて。名前、なんていうの?」
早苗とさくらは見合わせた。
「なんだ、そんなこと気にすることないのに!あたしは早苗!芦田早苗。よろしくね。」
「私は原川さくら。久美子ちゃんって呼んでいいかな?」
「うん、もちろんいいよ。」
三人は元気良く自己紹介をし、軽快に歩いて行く。
そしてしばらく歩くと、さくらの帰路と早苗の帰路が分岐する交差点に差し掛かった。
さくらが笑顔で切り出す。
「ここからは私がこっちで、早苗ちゃんがあっちなんだ。久美子ちゃんはどっち?」
「あたしは早苗ちゃんと同じ方向だよ。」
さくらの表情が残念そうに曇る。「そっかあ、じゃあまた明日ね」と惜しむように手を振った。
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